一皿にたくさんのフルーツの表情を

DESSERT/BIEN−ETRE

馬場 麻衣子

スペインの三つ星レストラン「サンパウ」の日本出店の立ち上げに参加。2010年に「BIEN-ETRE patisserie」、2017年に「FLOTO」を開業。全国各地の果物生産者による素材の味をいかしたジェラートやベイクが話題。

ご自身のお店や料理のコンセプト、大切にしていることを教えてください。

店名の「BIEN-ETRE」はフランス語で、心と体が整い良い状態であることを意味します。お客様にもスタッフにもBIEN-ETRE patisserieを介して、その良い状態になれるように願いを込めて名付けました。お店のシグネイチャーは毎月内容が変わる季節のパフェ。提供を始めてから11年、毎月違ったパフェを考えることは簡単なことではありませんが、お客様が喜んでくださることが作り手の喜びにもなり新たなチャレンジともなっています。作り続けることで見えてきた素材選びの大切さと、生産者への想いが新たなステージへを踏み出すきっかけとなります。『シンプルで自然体、体が素直に喜ぶ心地の良いお菓子を日常に』という想いのもと国産を中心にルーツのわかる食材を使い、ジャンルを問わないスイーツを皆様にお届けしていきます。

今回のメニュー開発でチャレンジだった点、こだわった点はどのようなところでしょうか?

今回のメニューはカフェスイーツということだったので、お菓子自体はとにかくシンプルに、素材の味をメインとして楽しんでいただこうと思い考案しました。一皿ごとにテーマの食材があるのですが、フルーツはそのままが一番美味しいと考えているので、フレッシュな味わいはそのままに調理した味わいもプラスして、お皿の中で様々なフルーツの表情を楽しんでいただけるようにしています。コンポートにしたり、コンフィチュールにしたり、ジェラートにしたり、フレッシュな果実そのものを使ったりと、食感や温度が異なると感じる甘さも変化するので一皿の中でメリハリがつきます。また、食材は毎年同じ状態で収穫されることがないので、食材を決める際には生産者のみなさまからしっかりヒアリングして、今年の食材の状態に合わせた調理方法や糖度を考えてレシピ作りに挑みました。

生産者とのコラボレーションという点で、印象的だった食材はありますか?

今回のお話をいただいた時、私が一番大切にしている素材選びの大切さと生産者への思いがリンクしたように感じました。そして、今までよりさらに強く生産者の方々との絆ができることが嬉しかったです。愛媛県のペンタファームさんは今までも紅ほっぺという品種の苺を送っていただいていたのですが、今回は収量が多くなく県外からあまり出せない品種のあまおとめという苺を、KABEATのスイーツメニューに使わせていただくことにしました。フレッシュはもちろん美味しいですが、加熱をしても苺らしい酸味と香りがしっかりと残るので苺を余すことなくお客様にお楽しみいただけると思います。また、菊地農園さんのキウイは減農薬栽培、無化学肥料で大切に育てられたキウイで、その自然な美味しさをお届けするために、フレッシュに限りなく近いマリネをチーズケーキのソースとして香りと彩りを添えました。

味わって欲しいポイントなど、メッセージをお願いします。

フルーツはその旬も短く、お楽しみいただける時期が限られているので、お客様にはその瞬間瞬間をめいっぱい堪能していただきたいと思っています。今は輸入や冷凍でいつでもほとんどのフルーツが手に入る時代です。その食材の旬を知らないという人も多くなっています。せっかく四季折々の食材が楽しめる日本にいるのですから、旬を楽しんでいただくこと、そしてパティシエとしてそれぞれの食材に合わせた様々な方法で、その味わいを引き立たせることを考えながらご用意した、KABEAT限定のスイーツメニューとなっております。ぜひお楽しみください。

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